高級輸入車の世界には、スペック表では測れない“個体差”がある。東京・品川に拠点を置くエーリストガレージは、その個体差を見極め、手に取るように説明し、オーナーのもとへ最良の形で届けることにこだわってきた専門店だ。その舵を取るのが社長・染谷聡。派手な在庫拡張や過度な広告に頼らず、「選ぶ前から始まっている体験価値」を磨き続ける――それが同店のスタイルであり、“A-List(最上級)”という名の由来でもある。
社長・染谷聡のプロフィールと店舗
染谷は長年、実車に触れ、試乗し、顧客の声に耳を澄ませながら“良い個体”の条件を更新してきた。エーリストガレージは、ポルシェを中心としたスポーツ志向のラインナップを基軸に、フェラーリなどのハイエンドまで幅を持たせるが、本質は台数より質。履歴が明快で説明に一貫性のある車両だけを厳選し、少数精鋭の在庫で勝負する。ショールームは落ち着いた雰囲気で、初めてスポーツカーを検討する人でも肩肘張らずに相談できる空気が漂う。
仕入れを経営の中心に――“A-List”の名に込めた哲学
中古車は「年式・型式・走行距離」が同じでも、価値は大きくブレる。だからこそ、エーリストガレージは経営の中心に“仕入れ”を置く。A-Listを名乗る以上、入口で妥協はしない。社長自らが現車を前に、書類・外装・機関・内装・下回り・電装・同調のとれたフィーリングまで、五感で総合評価を下す。ここでの判断が、その後の整備方針やオーナー提案の質に直結すると考えるからだ。
ポルシェを中心とした市場観の読み方
ポルシェ、とりわけ911は世代・グレードの幅が広く、個体の使われ方も千差万別だ。GT系やターボ系のように高負荷が想定されるモデルでは、サーキット走行歴や消耗品の更新履歴、冷間時の始動性から小さな異音の出方まで聴診器のようにチェックする。逆に街乗り中心の個体なら、ペダルやシートの摩耗、ドアヒンジの開閉フィーリング、内装のヤレ方など、日常の扱われ方を物語るディテールに価値を見出す。市場の相場だけを追うのではなく、“次に良い状態で乗り続けられるか”という観点で読み解くのが染谷流だ。
車両選定の具体基準とチェックポイント
選定の柱は「履歴の確かさ」「機関の健全性」「フィーリングの一貫性」。
・履歴の確かさ:ワンオーナーや記録簿の整合性、入庫履歴の透明性を重視する。
・機関の健全性:漏れ・滲み・異音の有無、温間・冷間での性格の違いを確認。
・フィーリングの一貫性:加減速・制動・ステアリングの入力に対する反応が素直か、車体全体で同じ“調子”を語っているか。
この三点が揃う個体は、走らせたときに「なるほど、これは良い」と身体が先に納得する。
整備・納車・アフターの一貫品質
厳選仕入れは“入口”にすぎない。エーリストガレージの真骨頂は、整備・納車・アフターまでを一本の線で結ぶ点にある。納車前整備は単なる交換リストの消化ではなく、次のオーナーの使い方を見据えた“設計”だ。たとえば、週末のワインディングを楽しむ人と、日常の足として使いながら時折ロングツーリングに出る人では、整備の優先順位も提案も変わる。弱点になりやすい箇所には先回りで手を入れ、納車直後から“楽しい状態”を保証する。
納車前に“次のオーナーの使い方”まで設計する
ブレーキ・タイヤ・フルード・ベルト類の消耗具合はもちろん、ショックの抜け感やブッシュの劣化度合い、ハブ・ベアリングのわずかな振れ、エアコンや電装の機嫌といった“快適”に直結する要素まで洗い出す。結果、オーナーは乗り始めから安心して踏み込め、クルマの本来のキャラクターをすぐに味わえる。
長く楽しむためのメンテナンス設計
納車後は、年次点検・消耗品交換のベースラインに、オーナーの走り方・保管環境・走行距離の伸びを織り込み、無理なく続けられるメンテナンス計画を提案する。純正志向か、ライトなカスタム志向かといった嗜好の違いも尊重し、将来のリセールや次回の車両入替まで見据えた“伴走”を行う。
接客は“数字より納得”――透明性のある対話
短期的な成約率より、長期的な納得感を最優先するのが、エーリストガレージの接客哲学だ。候補車の比較では、良い点だけでなく弱点も隠さずに開示する。維持費、保険、消耗、次回のメンテ予定まで具体的に擦り合わせることで、「自分の意思で選べた」という満足が残る。中古スポーツカーはロマンと現実の両輪で成り立つ。その両方を見える化する透明性が、初めての一本目にも、二台目・三台目の選び直しにも信頼を得ている理由だ。
店舗体制とワンストップ対応が生む安心感
販売・買取・車検・修理・整備・カスタム相談までワンストップで支援できる体制は、スポーツカーの“相棒”として頼れる。困ったときに電話一本で相談でき、必要ならすぐに実車と向き合って解決へ導く。品川というアクセスの良さも、忙しいオーナーの強い味方だ。台数を追わず、一台一台を丁寧に扱う少数精鋭の体制だからこそ、説明も整備もアフターもブレがない。
まとめ――良いクルマと“良い買い方”をデザインする
“最上級の体験は、選ぶ前から始まっている”。仕入れで個体の本質を見抜き、整備で次のオーナーに合わせて仕立て、透明な対話で納得の意思決定を支える。エーリストガレージと社長・染谷聡が提供する価値は、単に“良いクルマを並べる”ことではない。“良い買い方”までデザインされた一台が、長く愛され、手放すときにも価値を保ちやすい――その循環こそ、A-Listの名にふさわしい在り方だ。